生きること。

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    現在役として関わっている作品「私を殺して...」。

    韓国の戯曲ですが、とてもヘビーな題名の作品です。

    しかも直訳台本の段階では、仮題名は「死ぬ」だったんです。

    私自身、未だに声に出していうのには少し遠慮があるくらい、少しショッキングな作品名。

    「私を殺して...」

    観劇に来られる方などは、ブラックコメディーだとチラシや写真等で見ていても

    一瞬ドキッとされるのではないかと思います。

    そもそも、自分は“死”というものをちゃんと認識したのはいつだったのかと思い起こしてみました。

    “死”について意識した時のことを書きます。

    小学生の頃、向かいの家に住む(同級生だったかな)男の子が、病気で亡くなりました。

    といっても、その彼はずっと病を患っていましたから、会って話したり、

    一緒に登校したという記憶はとても曖昧です。

    そんな彼が突然亡くなった。

    知らせを聞いても私は、まったくその事実を受け入れることが出来ませんでした。

    うーん...受け入れるというか、よく理解できなかったという言い方の方が正しいかもしれません。

    もう彼に一生会うことは無い。この世に存在しない。

    そんなこと現実に起こりうるのかと、その当時の私は不思議に思うばかりでした。

    お通夜へ行って、遺影の彼の顔を見て、彼のお母さんが涙しているのを見ても

    “死んでしまった”という思いにはなりません。

    中学生になり、彼のお母さんのピアノ教室へ通うことになりました。

    あの頃と変わらない彼のお母さん。

    ある日、お月謝をお渡しするのに部屋へ入った時、仏壇の奥に彼の遺影が見えました。

    あの頃と変わらない彼の顔。

    「私は中学生になったけど、彼は小学生のままなんだ」

    その時少しだけ、“死ぬ”ということが胸の奥にチクリと刺さったような気がします。

    で、中二病を経て。。。

    やがて私は大人になり、ある時、親戚が次々に亡くなるという出来事がありました。

    その出来事の最後におばあちゃんが亡くなった時、私は生まれて初めて人の死に顔を見たんです。

    今までは怖くて、おじいちゃんの死に顔も見られなかったけど。

    おばあちゃんの死に顔は、今にも起き上がりそうな気がしてとても恐怖を覚えました。

    こんなに安らかで綺麗な顔をしているのかと、それがとてもとても怖かったんです。

    大昔には、死人が生き返るのが怖くて死人の手足を折って桶にいれたと言い伝えられていますが

    その気持ちがわかるような気がしました。

    私はおばあちゃんの死に顔を見た時、あまりにも怖くて、生きていたいと思ったんです。

    それは、“死”をしっかりと意識したからなんじゃないでしょうか。

    「死にたくない」と思うことって「生きていたい」と意識した時で

    「生きていたい」と思うことって「死にたくない」と意識した時。

    向かいの家の彼は、小さな頃から病気をして、“死”というものと常に近い場所にいて...

    本当に怖かっただろうな。

    もっと早く“死”というものに気づけていたら、お通夜で彼にちゃんとお別れを伝えたかったと

    何十年経った今でもふと頭を過ることがあります。

    “死”、これからもずっと考え続ける人生のテーマですね。

    “生きる”ということも。


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